ものよむひと(仮)
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そしてタルッサからの本たずさえて
 UND MIT DEM BUCH AUS TARUSSA
 そしてタルッサからの本たずさえて

 Все позты жυды
 あらゆる詩人はユダヤびと
 (Marina Zwetajewa)
(マリナ・ツヴェターワ)

 Vom
 犬の
 Sternbild des Hundes, vom
 星座について、その中の
 Hellstern darin und der Zwerg-
 明るい星と 矮星の―
 leuchte, die mitwebt
 輝き、地へと向かい
 an erdwärts gespiegelten Wegen,
 映し出された道を ともに織りなすものについて、

 von
 巡礼者の
 Pilgerstäben, auch dort, von Südlichem, fremd
 杖について、そこにまたある、南方のものについて、異邦の
 und nachtfasernah
 織り物にも似た
 wie unbestattete Worte,
 埋葬された言葉たちの夜、
 streunend
 封域さまよい
 im Bannkreis erreichter
 到達したもの
 Ziele und Stelen und Wiegen.
 目的地や 跡地や 揺籃の地について。

 Von
 真実の―
 Wahr- und Voraus- und Vorüber-zu-dir-,
 予見され―過ぎ去った―きみへの―ことについて―、
 von
 彼方への
 Hinaufgesagtem,
 言祝ぎについて、
 das dort bereitliegt, einem
 それはそこに 横たえられたもの、自らの
 der eigenen Herzsteine gleich, die man ausspie
 心という石同様、ひとが
 mitsamt ihrem un-
 きみとともに吐き戻した 壊されることなき―
 verwüstlichen Uhrwerk, hinaus
 機械仕掛けの、彼方の
 in Unland und Unzeit. Von solchem
 地ならぬ地 時ならぬ時と在るもの。そんな
 Ticken und Ticken inmitten
〈チクタク〉と〈チクタク〉について
 der Kies-Kuben mit
 砂利の―鉢植えに囲まれた
 der auf Hyänenspur rückwärts,
 ハイエナの足跡づたい、
 aufwärts verfolgbaren
 後追いかける
 Ahnen-
 祖先の―
 reihe Derer-vom-Namen-und-Seiner-
 列 名たち―と―名たちのための―
 Rundschlucht.
 円なる墓について。

 Von
 ひとつの
 einem Baum, von einem.
 樹木について、ひとつについて。
 Ja, auch von ihm. Und vom Wald um ihn her. Vom Wald
 そう、それについても。そうして 周囲の森について。踏み入られぬ
 Unbetreten, vom
 森について、思いたち
 Gedanken, dem er entwuchs, als Laut
 について、成長しきった、音と
 und Halblaut und Ablaut und Auslaut, skythisch
 半音と 交母音と 語末音と、スキタイ風に
 zusammengereimt
 織りなされる韻が
 im Takt
 タクトの下
 der Verschlagenen-Schläfe,
 釘付けられ―眠り、
 mit
 息づく
 geatmeten Steppen-
 草原の―
 halmen geschrieben ins Herz
 茎たちで記された 時たちの
 der Stundenzäsur - in das Reich,
 巡り目の中心へ―域の中へ、
 in der Reiche
 広々とした
 weitestes, in
 域の中へ、
 den Großbinnenreim
 大行韻の中へ
 jenseits
 口利けぬ―
 der Stummvölker-Zone, in dich
 部族の地の向こう側、きみという
 Sprachwaage, Wortwaage, Heimat -
 言葉の秤へ、語の秤へ、故郷の―
 waage Exil.
 天秤座への追放へ。

 Von diesem Baum, diesem Wald.
 これらの樹々、これらの森について。

 Von der Brücken-
 橋の―
 quader, von der
 敷石について、彼方の
 er ins Leben hinüber-
 生命へと ぶつかった―
 prallte, flügge
 ものについて、傷たちからの
 von Wunden, - vom
 投身、―ミラボー
 Pont Mirabeau.
 橋について。
 Wo die Oka nicht mitfließt. Et quels
 合流することなき オカ川にかかった。ソレハ何トイウ
 amours! (Kyrillisches, Freunde, auch das
 愛ノ数々!(キリロスに、友なるものに、ぼくは騎乗し
 ritt ich über die Seine,
 セーヌを渡った、
 ritts übern Rhein.)
 ラインを渡った)

 Von einem Brief, von ihm.
 手紙について、それについて。
 Vom Ein-Brief, vom Ost-Brief. Vom harten,
 ひとつの―手紙について、東方からの―手紙について。苛烈な、
 winzigen Worthaufen, vom
 わずかな語の積み重ねについて、無防備な
 unbewaffneten Auge, das er
 眼について、それは
 den drei
 三なる
 Gürtelsternen Orions - Jakobs-
 オリオンの主星たち―ヤコブの―
 stab, du,
 杖、きみは、
 abermals kommst du gegangen! -
 今ひとたび来た きみは 赴いた! ―
 zuführt auf der
 さらに先行き
 Himmelskarte, die sich ihm aufschlug.
 空という地図へ、自らを打ち付けた。

 Vom Tisch, wo das geschah.
 テーブル、そこで起こったことについて。

 Von einem Wort, aus dem Haufen,
 ひとつの語について、数多の中から、
 an dem er, der Tisch,
 テーブルへと、寄り添って、
 zur Ruderbank wurde, vom Oka-Fluß her
 舵台へと変わった、このオカ川の流れと
 und den Wassern.
 ほかの流れについて。

 Vom Nebenwort, das
 契りの隣り、
 ein Ruderknecht nachknirscht, ins Spätsommerohr
 櫂のしもべの きしみにも似た、晩夏の耳中、
 seiner hell-
 耳聡き―
 hörigen Dolle
(もはやすべては)
 Es IST ALLES ANDERS, als du es dir denkst, als ich es mir denke,
 もはやすべては、きみの思いとは、ぼくの思いとは、
 die Fahne weht noch,
 旗いまだ風に吹かれ、
 die kleinen Geheimnisse sind noch bei sich,
 神秘たちまだささやかに、
 sie werfen noch Schatten, davon
 彼らはまた影投げかけ、それにすがり
 lebst du, leb ich, leben wir.
 生きているきみ、生きているぼく、生きているぼくら。

 Die Silbermünze auf deiner Zunge schmilzt,
 銀貨は舌の上に溶け、
 sie schmeckt nach Morgen, nach Immer, ein Weg
〈朝〉の味が、〈いつも〉の味が、ひとつの道
 nach Rußland steigt dir ins Herz,
 ロシアへの道が きみの心に立ち上がった、
 die karelische Birke
 カレリアの地で白樺が
 hat
 きみを
 gewartet,
 待っていた、
 der Name Ossip kommt auf dich zu, du erzählst ihm,
 オシップの名がきみ思い起こし、きみは物語る、
 was er schon weiß, er nimmt es, er nimmt es dir ab, mit Händen,
 明白なものを、奪い取られたものを、彼は受け取る、両の手で、
 du löst ihm den Arm von der Schulter, den rechten, den linken,
 きみは彼の肩より外す、右の腕を、左の腕を、
 du heftest die deinen an ihre Stelle, mit Händen, mit Fingern, mit Linien,
 きみはその場に縫いつける きみのものを、両の手と、指先と、指紋のついた、

 - was abriß, wächst wieder zusammen -
 ―引き剥がされたものが、ふたたびともに―
 da hast du sie, da nimm sie dir, da hast du alle beide,
 その時きみは 手にし、受け取る、ふたつすべてを、
 den Namen, den Namen, die Hand, die Hand,
 名前と、名前、手と、手とを、
 da nimm sie dir zum Unterpfand,
 そこできみは 証を奪い取り、
 er nimmt auch das, und du hast
 彼もまた 証を奪い取る、そしてきみは
 wieder, was dein ist, was sein war,
 ふたたび持つ、きみのものを、かつての彼のものを、

 Windmühlen
 風車が

 stoßen dir Luft in die Lunge, du ruderst
 きみの肺へと風送り、きみは漕ぐ
 durch die Kanäle, Lagunen und Grachten,
 運河を、潟を 水路を通り抜ける、
 bei Wortschein,
 言葉という輝きの下、
 am Heck kein Warum, am Bug kein Wohin, ein Widderhorn hebt dich
 船尾には〈なぜに〉なく、船首には〈どこへ〉なく、おひつじの角が
 - Tekiah! -
 ―テキア!―
 wie ein Posaunenschall über die Nächte hinweg in den Tag, die Auguren
 さながらラッパのように響き 夜々たち去った 日の下へときみ運ぶ、鳥占いたちは
 zerfleischen einander, der Mensch
 互いに引き裂き合い、ひとは
 hat seinen Frieden, der Gott
 ひとの平和へと還り、神は
 hat den seinen, die Liebe
 神自身へと、愛は
 kehrt in die Betten zurück, das Haar
 寝台へと逆戻り、髪は
 der Frauen wächst wieder,
 女たちにふたたび生え、
 die nach innen gestülpte
 内へと覆われた
 Knospe an ihrer Brust
 胸のつぼみは
 tritt wieder zutag, lebens-,
 ふたたび日に当たり、生命の―、
 herzlinienhin erwacht sie
 心の線たち目を覚ます
 dir in der Hand, die den Lendenweg hochklomm, -
 きみの手の内、腰という道を 高々と登って、―

 wie heißt es, dein Land
 どんな名なのだろう、きみの故郷は
 hinterm Berg, hinterm Jahr?
 山を後ろに、年月を後にした?
 Ich weiß, wie es heißt.
 ぼくは知っている、どんな名が つけられたかを。
 Wie das Wintermärchen, so heißt es,
 冬のメルヘン さながらの、そんな風に名づけられた、
 es heißt wie das Sommermärchen,
 名づけられた 夏のメルヘン さながらの、
 das Dreijahreland deiner Mutter, das war es,
 きみの母の 三年越しの地が、そこにあった、
 das ists,
 そこにある、
 es wandert überallhin, wie die Sprache,
 あちこちさまよう、言葉のように、
 wirf sie weg, wirf sie weg,
 それを放れ、それを放れ、
 dann hast du sie wieder, wie ihn,
 そしたらきみはふたたび持てる、そのように、
 den Kieselstein aus
 メーレンの
 der Mährischen Senke,
 窪地の小石のように、
 den dein Gedanke nach Prag trug,
 きみの思いはプラハへと、
 aufs Grab, auf die Gräber, ins Leben,
 墓へと、墓所へと、復活へと運んだ、
 längst
 とうの以前
 ist er fort, wie die Briefe, wie alle
 それは去っていた、手紙のように、くたびれた
 Laternen, wieder
 街灯のように、ふたたびきみは
 mußt du ihn suchen, da ist er,
 それを探せ、そこにある、
 klein ist er, weiß,
 ささやかなもの、白が、
 um die Ecke, da liegt er,
 曲がり角に、そこに横たわる、
 bei Normandie-Njemen - in Böhmen,
 ノルマンディーのニーメン河畔―ボヘミアに、
 da, da,da,
 そこに、そこに、そこに、
 hinterm Haus, vor dem Haus,
 家の後ろに、家の前に、
 weiß ist er, weiß, er sagt
訳了。

 詩の訳は終了しました。校正があと五分の一くらい。終わったからって金にならないのが悲しい。「ここまでの みちのりでえたものが (いかりゃく)」って奴でスカイ。……何だこの誤変換。

 読書は停滞中。けどもの凄い勢いで頼んだ、ローベルト・ヴァルザー『ヤーコプ・フォン・グンテン』が素晴らしいです。「心優しきカフカ」との評があるのですが、年代的には「カフカの師匠」とか、あちらを「怜悧なヴァルザー」と言った方が。知名度上厳しいけど。

午前2時追記:
いえーい、校正終了。けど没後45周年企画とか、一応サイト1周念企画とかが……うむうむ、なまたさう、なまたさう(不明)。
あとアンケートのコメント見たら、こんな言葉を頂いてました。

これは迷うなあァ。一番長いもの選んで恐縮ですが、
無理しないでください。できればセリーヌもちびっと欲しいな。


殺す気か前向きに善処いたします。でもセリーヌについては自分の中で、色々と錯綜したままなんですよねえ……。
夏のメルヘン さながらの、
 どうも。リアリストに成りきれない現実ロマンチスト(造語)rokugomarunisaiですコンバンワ。
 訳してた『そしてタルッサからの本たずさえて』(これは終了!)に、「犬の星座」の「明るい星」とか「矮星」とか、あからさまに天文知識が要求される場所が数多ありました。
 オリオン座とかへびつかい座の逸話(以前書いたんで省略)は面白すぎて覚えてたんですが、ほかはさすがに記憶が怪しい……そこで、小学校以来実にン十年ぶりに星座の由来を調べてみることに。


コントルスカルプ
 LA CONTRESCARPE
 コントルスカルプ

 Brich dir die Atemmünze heraus
 息という硬貨を きみは
 aus der Luft um dich und den Baum
〈痛み〉の綴り
 DIE SILBE SCHMERZ
 〈痛み〉の綴り

 Es gab sich Dir in die Hand
納屋の窓
 HÜTTENFENSTER
 納屋の窓

 Das Aug, dunkel:
 眼は、暗がりの―
 als Hüttenfenster. Es sammelt,
 納屋の窓より。集めるは、
 was Welt war, Welt bleibt: den Wander-
 世界だったもの、世界であり続けるもの。さまよう―
 Osten, die
 東方の、
 Schwebenden, die
 放浪の民、
 Menschen-und-Juden,
 人であり―ユダヤびとである、
 das Volk-vom-Gewölk, magnetisch
 雲上の民を、磁気のように
 ziehts, mit Herzfingern, an
 手繰り寄せる、心という指で、
 dir, Erde:
 きみへと、大地よ―
 du kommst, du kommst,
 きみは来た、やって来て、
 wohnen werden wir, wohnen, etwas
 住まうのだろう ぼくらは、住まう、何に

 - ein Atem? ein Name? -
 ―ひとつの息に? ひとつの名に? ―

 geht im Verwaisten umher,
 ひとけなき 辺りさまよう、
 tänzerisch, klobig,
 踊るように、ぎこちなく、
 die Engels-
 天使の―
 schwinge, schwer von Unsichtbarem, am
 翼が、何故にか重く、擦り剥け
 wundgeschundenen Fuß, kopf-
 くたびれた足に 間近な翼が、頭―
 lastig getrimmt
 でっかち釣り合いとり
 vom Schwarzhagel, der
 黒の雹が、
 auch dort fiel, in Witebsk,
 ヴィテブスクにも、また落ちる。

 - und sie, die ihn säten, sie
 ―そして彼ら、ふりまくものたち、
 schreiben ihn weg
 対戦車砲というかぎ爪で
 mit mimetischer Panzerfaustklaue! -,
 かき消そうとするものたち! ―、

 geht, geht umher,
 歩き、歩きまわり、
 sucht,
 探し、
 sucht unten,
 探しまわり、
 sucht droben, fern, sucht
 空を、彼方を、
 mit dem Auge, holt
 その眼で探し、アルファ・
 Alpha Centauri herunter, Arktur, holt
 ケンタウリを、アークトゥルスを引きずり降ろし、
 den Strahl hinzu, aus den Gräbern,
 光をさらに、墓所から奪う、

 geht zu Ghetto und Eden, pflückt
 ゲットーへ エデンへ行き、
 das Sternbild zusammen, das er,
 星座を摘み取る、彼ら、
 der Mensch, zum Wohnen braucht, hier,
 ひとなるものが、ここに、ひとびとの合間、
 unter Menschen,
 住まうがために、

 schreitet
 歩み測る
 die Buchstaben ab und der Buchstaben sterblich-
 文字たちを 文字たちの 死に行く―
 unsterbliche Seele,
 不滅の魂を、
 geht zu Aleph und Jud und geht weiter,
 アレフへ ユダヤびとへ そしてさらに その先へ行き、

 baut ihn, den Davidsschild, läßt ihn
 打ち立てる、ダビデの標を、それを
 aufflammen, einmal,
 ひとたび、燃え上がらせて、

 läßt ihn erlöschen - da steht er,
 消し去って―立ち尽くす、
 unsichtbar, steht
 見えぬものは、立ち尽くす
 bei Alpha und Aleph, bei Jud,
 アルファとアレフの、ユートの、
 bei den andern, bei
 ほかなるものの、すべての
 allen: in
 そばの―きみの
 dir,
 なかに、

 Beth, - das ist das Haus, wo der Tisch steht mit
 ベート、―それは家のなかに、光また光の
 dem Licht und dem Licht.
 食卓のなかに。


「住むのだろう」「安住できない」と歌った『ふたつ分かたれた、永遠なるもの』(サイト内)との対比が想起される。
「アレフ」ヘブライ語。アルファ。
「ユート」ヘブライ語。同時にユダヤびと(Jude)との掛詞。
「ベート」ヘブライ語。ベータ。

参照:
パウル・ツェラン全詩集〈1〉
中村朝子訳『パウル・ツェラン全詩集〈1〉』
飯吉光夫訳『誰でもないものの薔薇』

   「Die Niemandsrose」(目次)に戻る
   「死のフーガ」「トートナウベルク」など
   「パウル・ツェラン 不信の時代の詩人」に行く

珠玉たち
 LES GLOBES
 珠玉たち

 In den verfahrenen Augen - lies da
国語問題。
Q:
以下の二つの文を読み、現在のrokugomarunisaiの心境を推測しなさい。

昨日の日記
今井昌平『楢山節考』

本日BS2にて、10時50分から今井昌平監督の追悼特集。
今回は『楢山節考』。言わずもがな、深沢七郎 の名編が原作ですね。
実は映画は初見なので、楽しみです。


今日の日記
予選リーグなんだからFIFA会長の国が勝つに決まってるだろ! W杯なんて政治的ゲームなんだから!


A:
1・いわば大がかりな、世界を挙げての悪ふざけ。
2・おおアブサロム、アブサロム!
3・人生は一幕の芝居に過ぎぬ!
4・とどのつまりは見られなかった。

誤字訂正:
ご指摘ありがとうございます。正しくは「深沢七郎」でした。
ライナー・マリア・リルケ『涙の日』



 ツェランの合間の私訳。癖で「ぼくら」と訳しそうになった。訳と原文は以下。


日がな一日。
 電話が来てたので図書館へ。届いてたのは矢作俊彦(と清水マリコ)推薦、ガルシア・ロルカは『ジプシー歌集』、と藤田嗣治『腕一本・巴里の横顔』(腕は「ブラ」と読む)。藤田嗣治はヒッチハイクやキセルしてでも見に行く予定。自転車で200キロ近く(しかもド真夏)はちょっとね。快く行けますように。
 そしてイヴォ・アンドリッチ(ユーゴスラヴィア・現ボスニアのノーベル文学賞作家)の作品、実に7冊が地元の図書館にあることが判明。えらい。とりあえず代表作らしい『ドリナの橋』と、詩集+短編集『サラエボの鐘』を借りる。

 そして地元、よりもちょいとだけ遠い書店に行く。
 小さいながらも電撃組云々と聞いてて、『狼と香辛料2』発見。しかし『シフト2』は見つからず。と、棚を見てホコリの被ったオーフェンを見つける。「置きっぱなしなのか」、とここで「掘り出し物があるんじゃ?」とひらめく。探すと果たして、『天になき星々の群れ』を発見。で、追加購入。然る後帰宅。しかしいつ読むことになるやら……
 で、今月も厳しいかなあと脳天気に思ってたら、突発イベント発生。唐突に財布が空に。そのイベントとは?

 「父の日」

 わ、わたしの『フィアスコ(大失敗)』と『シフト2』代があっ(全然突発じゃないと言うお話は聞かなかったことにする)。結局『父の詫び状』じゃなかった「父の財布」(そのもの)になりましたとさ。今月もう何も先立つものがないです。……くすん。

 あと詩。終わったのは49,9くらい。あと3,1。ていうかね、あんまりきつくて、逃避気味にmixiであったリルケの詩を丸々ひとつ訳したりとか、アプレンティス(MWS動かせるほど性能良くないのよ)で青単作ってみたりとか……いかん、いかん。

追記:
リルケはツェランとちがってかなり直球で面白かった。根底は似通ってる気がしたんだけど、ただそれが何でどういう事かまでは分からず。

追記の追記:
50完了。残り「ちょうど」3になりました。
衝撃。
『シフト2』を「在庫あり」と出たから探したらバグで、『デトロイト・メタル・シティ』と『狼と香辛料』は売り切れで、『砂漠の惑星』は上遠野耕平の解説だけではもう一冊買う気になれず。『電撃HP Vol42』を読むもやっぱりというか、うえお久光のエッセイは載っておらず、半ばヤケの須賀しのぶ単騎『野性時代』も不発。
 そんな一日。大人しく文書いてろってことですか。てかここまで憑いて(これが正しい漢字ですと)なかったのは久し振りだ。

……と、ふてくされ気味だったんですが、そこにひとり出現。

 ローベルト・ヴァルザー。

スイスのドイツ語詩人です。
カフカの師匠格、と言えば通じるでしょうか。

『ヴァルザーの詩と小品』(訳は尊敬する飯吉光夫)を借りて、とりあえずは題名だけ聞いていた掌編『ブレンターノ』を、と読んだらこれがビューヒナーの『レンツ』や色川武大『ひとり博打』を思わせる逸品。最後三行がもう何というか。これだけで昨日は幸せでした。というよりお腹いっぱいで満足になったというか。たった7ページでですぜ?
 そしてチラと見たら『ヘルダーリン』やら、なんと『ビューヒナーの逃走』というタイトルが! おお、やっぱ『レンツ』をモチーフにしてたのか。

 絶版になってる『ヤーコプ・ファン・グンテン』もとんでもない作品とのことで、実に楽しみです。

 ……って冒頭の本を買うかどうか怪しくなっちゃいましたね(予算上)。

追記:
しかしこの、誰々の師匠だの読者だのって辿り方はもの凄く有効だね。ツェランもセリーヌもビューヒナーもこの方法だもの。

追記の追記:
ビューヒナーで思い出したけど、『さくそはな』の訳を全面的に改めました。見る限り誤訳を3つ減らせた……

追記の三乗:
『ヤーコプ・ファン・グンテン』じゃねー。
『ヤーコプ・「フォン」・グンテン』でした。

しかし性に合ってるってのもあるんだろうけど、20世紀のドイツ語圏文学の充実ぶりは異常だね。ツェラン、カフカ、ムージル、リルケ、でこのヴァルザー。哲学ではハイデガーにアーレント、ベンヤミンにショーレムに……

ヴァルザーの詩と小品
『洲之内徹の修羅』
てなタイトルがふと浮かんでて、これいいんじゃと悦に入ってた。まあいつものことで、ハードディスクん中にはそれっぽいのが100はある(ヒント・残骸)んだが、『en-taxi』の05年夏号(洲之内徹特集+付録小説)読んだら福田和也が同じようなこと書いてて凹んだ。少しは近付けたのか、それとも誰でも考えそうなことなのか。いずれにせよ近日記す気は完璧に失せた。ふて寝する。

・麻生俊平
の『つばさ』について結局何も書けない。新レーベル、初見のひとに評判がいいだろうことも分かるし、古参ファンが抱くだろう気持ちも分かる。だけれども。ふて寝する。

・冴木忍
の『聖竜伝』が打ち切り第一部完だそうな。確かに最近は調子悪そうだったが。初期作『卵王子カイルロッドの苦難』『風の歌、星の道』『空見て歩こう』のファンとして、諸行無常に思い馳せざるを得ず。ふて寝する。

・破滅型
が好きだ、ということを再認する。ふり返るに今の自分は何だろう……自堕落型? 良く言えば享楽型というか。あまり面白くない結論に達しそうなのでふて寝する。

・ふて寝
が好きなわけではなくてよ奥さん。あと諸事情により日記その他は遠くなるっぽい。


(ぼくに語が)
 WOHIN MIR DAS WORT, das unsterblich war, fiel
(戴冠された)
 HINAUSGEKRÖNT,
 戴冠された、
 hinausgespien in die Nacht.
 夜のなか返された。

 Bei welchen
 なんという
 Sternen! Lauter
 星たちの下! 澄み切った
 graugeschlagenes Herzhammersilber. Und
 灰の色へと鋳られた 心という銀槌。そうして天に
 Berenikes Haupthaar, auch hier, - ich flocht,
 ベレニケの頭髪が、ここにもまた、―ぼくは編んだ、
 ich zerflocht,
 ぼくはほどいた、
 ich flechte, zerflechte.
 ぼくは編み、ほどく。
 Ich flechte.
 ぼくは編む。

 Blauschlucht, in dich
 青の峡谷、きみへ
 treib ich das Gold. Auch mit ihm, dem
 ぼくは黄金をせき立てる。それを、
 bei Huren und Dirnen vertanen,
 淫売や春ひさぎの下 ついやされた物たずさえ、
 komm ich und komm ich. Zu dir,
 ぼくは来た やって来た。きみへと、
 Geliebte.
 いとしい人。

 Auch mit Fluch und Gebet. Auch mit jeder
 呪い祈りもたずさえて。ぼくの頭上
 der über mich hin-
 それぞれうなる―
 schwirrenden Keulen: auch sie in eins
 棍棒たちもたずさえて――ひとつに
 geschmolzen, auch sie
 溶かして、陰茎状に
 phallisch gebündelt zu dir,
 束ねてきみに、
 Garbe-und-Wort.
 束―の―言葉を。

 Mit Namen. getränkt
 名たちたずさえ。追放のさなか
 von jedem Exil.
 呑み込まれた名たちを。
 Mit Namen und Samen,
 名たち 種たちたずさえて、
 mit Namen, getaucht
 名たち、あらゆる
 in alle
 聖杯に
 Kelche, die vollstehn mit deinem
 浸された、きみという
 Königsblut, Mensch, - in alle
 王の血に満たされた、―あらゆる
 Kelche der großen
 聖杯さながらの大輪
 Ghetto-Rose, aus der
 ゲットーの薔薇より、きみは
 du uns ansiehst, unsterblich von soviel
 ぼくらを見守る、不死となって 数多の
 auf Morgenwegen gestorbenen Toden.
 朝まだきの道 滅びていった死のなかより。

(Und wir sangen die Warschowjanka.
(そしてぼくらは ワルシャワの歌うたった。
 Mit verschilften Lippen, Petrarca.
 葦覆われた唇で、ペトラルカ。
 In Tundra-Ohren, Petracra.)
 ツンドラという耳へ、ペトラルカ。)

 Und es stieg eine Erde herauf, die unsre,
 そうして 大地が登る、ぼくらの、
 diese.
 大地が。
 Und wir schicken
 そうして ぼくらは送らない
 keinen der Unseren hinunter
 誰も ぼくらのようなものを
 zu dir,
 きみの下へ、
 Babel.
 バベルよ。



参照:
パウル・ツェラン全詩集〈1〉
中村朝子訳『パウル・ツェラン全詩集〈1〉』
飯吉光夫訳『誰でもないものの薔薇』

   「Die Niemandsrose」(目次)に戻る
   「死のフーガ」「トートナウベルク」など
   「パウル・ツェラン 不信の時代の詩人」に行く

すべてひとつに
 IN EINS
 すべてひとつに

 Dreizehnter Feber. Im Herzmund
 二月十三日。心の口より
 erwachtes Schibboleth. Mit dir,
 目覚めたシボレート(合い言葉)。きみらとともに、
 Peuple
 パリノ
 de Paris. No pasaràn.
 人々ヨ。ノー・パサラン(通すな)。

 Schäfchen zur Linken: er, Abadias,
 子羊をかたわらに――年老いた、アバディアスが、
 der Greis aus Huesca, kam mit den Hunden
 フェスカより、犬たちを連れ
 über das Feld, im Exil
 野を越えてきた、追放された
 stand weiß eine Wolke
 人の気高さあわせもつ
 menschlichen Adels, er sprach
 ひとひらの雲浮かぶ中、彼は話した、
 uns das Wort in die Hand, das wir brauchten, es war
 ぼくらが 手にする言葉を、欲した言葉を、羊飼いの
 Hirten-Spanisch, darin,
 スペイン語まじりに。

 im Eislicht des Kreuzers „Aurora"
途上の光芒 『ゲオルク・ビューヒナー全集』
ゲオルク・ビューヒナー全集
ゲオルク・ビューヒナー『ゲオルク・ビューヒナー全集』(AA)

 日ごと、書き足すなり改めてまとめるなりしていく予定です。帯付きの画像は、クリックすると帯文句が読める大きさになります。

旧版との違い;
1・ビューヒナー賞受賞講演(パウル・ツェラン、ギュンター・グラス、ヴォルフガンク・ヒルデスハイマーなど)未収
2・新装版への後書き

 1は一応『照らし出された戦後ドイツ―ゲオルグ・ビューヒナー賞記念講演集(1951‐1999)』(AA)で読めるんだけど……まあ、復刊自体がかなりの冒険(商業上は)なんで、あまり贅沢は。
 今のとこまだ半分も読んでない(『ダントンの死』と人物註釈、『ビューヒナー小伝』くらい)けど、文句は本当に1くらいで、かなり満足してます。

ダントン たとえうまくいくとしても――僕は人をギロチンにかけるより、自分がかけられた方がいいんだ。もう倦き倦きしたよ。いったいなんのために僕ら人間はお互いに戦い合わなきゃならないんだ。お互いに平行線で坐って、相手のことは放っていてやればいいのに。僕たちが神さまに創られたとき、ひとつ大きな手抜かりがあったんだ。僕たちには何かが欠けている、それを何という名で呼んでいいか僕には分からない――だからといってお互いに相手の内臓までひっかきまわしてそいつを引きずりだしてくるわけにもいかない、そんなことのために相手のからだを切開するわけにもいかないだろう? もう行ってくれ、僕たちはみじめな錬金術者なんだ。

   (続く……)
いよいよ明日。
ゲオルク・ビューヒナー全集
ゲオルク・ビューヒナー『ゲオルク・ビューヒナー全集』

ただ一冊で、先月の本代の三分の一を占めた本が来ます。
ン万冊売れるとは思いませんが、しかし文庫20冊やCD3、4枚を諦めるだけの価値はあります。ただ今回のもあくまで120周年記念復刊ですしねえ……その気になった方はお早めに、と。てなわけで、週明けにはなにがしか書いてみる予定です。

追記:
まあこの先、総額はともかく一冊でこれ以上使うのは考えにくいですね……あるとしたら『夜の果てへの旅』初稿版とかツェランの未発表詩集とか、『特性のない男』完成稿とか……。

追記:
ドイツ語が出来る方ならDantons Todを、さらに演劇に興味がある方はWoyzeckをどうぞ。
気合。
 ドイツ語で文字化けしてた部分を気付いた限りすべて直しました。
 これでちゃんと原文と対比できるようになる……はず。

 ウムラウト表記
 &×uml;
 &を&(半角)に、×を「a」「u」「e」「A」「U」「E」に変える。
 ä ü ë Ä Ü Ë

 エスツェット表記
 ß
 &を&(半角)に。大文字表記がないのは知らなかった。
 ß

 てか嫌でも覚えました。
So it goes. 集団的狂気の研究(承前)
 集団心理という奴を興味深く思ってました(挨拶)。

 と、ここで絶好の実地が。今有名と言えば有名なとこです。
 てなわけで、しばらく実地検分に行って参ります。
 ……あ、実際何かやるワケじゃないんで、傍観、かな。
 まあ巻き込まれる心配はおよそありませんが。
 それでは、しばらく。